17日、富士スピードウェイでシェイクダウンを果たしたFIA GT3規定のニューマシン、GSR&Studie with TeamUKYOのBMW Z4 GT3。今年1月にはドバイ24時間も制した実績あるマシンではあるが、スーパーGTではどんなポテンシャルを持っているのだろうか? 走行を終えた両ドライバーに聞いた。
事前の天気予報が好転し、晴天の下迎えた17日のシェイクダウン。13時40分からの走行スタート後、特有の野太いV8サウンドを響かせ、今季移籍した谷口信輝のドライブでコースインした初音ミク グッドスマイル BMWは、他のスポーツ走行参加のヴィッツやロードスター、ポルシェなどをかき分けるように周回。谷口と番場琢のドライバーふたりは、慎重にマシンを壊さないようにシェイクダウンを終えた。
走行後、谷口にBMW Z4 GT3の第一印象に聞くと、ズバリ「速そうです!」とファンにとっては嬉しいコメントが飛び出した。
「去年まではRX-7に乗っていたから、FIA GT車両は排気量もリストリクターも大きいし、エンジンのトルク感もあるし、直線が速く感じますね。他のクルマとの比較ができていないから分からないけど、楽しみです」と谷口。しかし一方で、「ピットワークは遅いかもしれない。エンジンのかかりが悪いんですよ。作業が終わってからジャッキを降ろして、発進するまでに手痛いロスがあるかもしれない」とこのマシン特有の“弱点”も指摘していた。
谷口と言えば、スーパー耐久で形式こそ違うが、同じBMW Z4をドライブしている。同じBMWが手がけたマシンということで、「動きとか操作系とかはかなり似ている印象。エンジンの違いが大きいかな」と似たフィーリングも感じ取れたようだ。
一方、昨年は同じGT3車両であるポルシェ997 GT3Rをドライブしていた番場は、マシンの印象について「正直に言うと、今日は(スポーツ走行で)あまりに台数がいたので、ほとんどのコーナーを攻められていないんですよ(苦笑)。操作系を谷口さんと覚えるのがメイン。去年は2回大ミスしてるので(笑)」と語る。
「でも、ポテンシャルはあると思います。ストレートもエンドはポルシェの方が伸びるとは思いますが、下のパワーはBMWの方があるかな」と番場はBMW Z4 GT3の印象をコメントしてくれた。
このテストを終えて、BMW Z4 GT3はスーパーGT300クラスの中でどんな位置につけることができるのだろうか? 今季はFIA-GT2/GT3規定のマシンが増え、さらにJAF-GT勢もマシンや体制が変わるチームも多く、谷口は「自分がすべて把握している訳でもないし、他のチームもまだ比較できていない状態。まだまったく分からない」と明言を避けた。
しかし、「とりあえず今日乗ってみてホッとしているのが、クルマの雰囲気は良さそう。勝負にならないことはないなと。『こりゃどうにもダメだ』という雰囲気はないし、お膳立てはできたので、あとはオレたちが頑張るだけだね」と常にGT300でトップを争ってきた谷口は、シェイクダウンでチームとともに確かな手応えを得たようだ。
なお、この日のシェイクダウンには、新たな“初音ミク号”の誕生を見届けようと、30人近いサポーターが富士を訪れ、走行後にはスタディ鈴木康昭代表の計らいで皆で記念撮影を行うなど、早くも“アツい”雰囲気に包まれた。「僕のレースのキャリアで所属してきたチームとは明らかに違う雰囲気だよね。皆さんに支えられているチームなので、感謝です」と谷口も笑顔で写真に収まった。
4月28日(木)発売の週刊オートスポーツNo.1297では、初音ミク グッドスマイル BMWのマシンギャラリー&解説を4ページで掲載予定なので、そちらもお見逃しなく。